絵本の読み聞かせが大切だとされる理由で、一般的によく知られているのは以下のふたつ。
- 学力があがる
- コミュニケーション力があがる
なのですが、それよりも実はもっと深く大きいのではないかと考える理由がふたつあります。
学力が上がれば嬉しいし、コミュニケーション力につながることも、もちろん大事なのですが、それよりもはるかに大事だと考える真の理由を解説していきます。
まずは、これまで語られてきたふたつについて、見ていきましょう。
絵本の読み聞かせは学力UPにつながる?
たくさんの言葉に触れて、語彙力、表現力が豊かになります。
言語力があがりますね。
また、言葉を聴くことと絵を見ることに集中するので集中力がつきます。
言語力と集中力がつくことで、結果的に学力にも好影響を及ぼします。
その後の読書につながるとも言われています。
そして国語力が上がり、結果として他の教科にも波及して、学力が上がるのだと仰っている方もいらっしゃいますね。
あくまで結果として…ですね。
そうなる可能性がある…程度に考えて、それを目標にしないことが大切ですね。
絵本の読み聞かせはコミュニケーション力UPにつながる?
コミュニケーション力があがる理由には語彙力、表現力が豊かになり、言語力があがることに加えて
- 聴く力が育まれる。
- 想像力が育まれる。
- 感情表現が豊かになる。
があります。この三点について補足しますね。
聴く力
絵本の読み聞かせを積み重ねていくと、情景や心情をイメージしながら聴けるようになっていきます。
それだけ深くお話の世界に入り込んで、聴けているということですね。
そして長いお話も聴けるようになっていきます。
これが、人の話をきちんと聴けるようになることにつながります。
想像力
絵本は言葉と絵でできています。
全てを絵で表せないので、絵のないところでは言葉を聴いて、ある絵から次の絵までを埋める絵…情景や動きなどを自分の中で言葉からイメージするのですね。
これが想像力がつくと言われる所以ですね。
想像力があることで、表情や仕草から人の気持ちをイメージできて、人の思いを受け止めたり、共感したりすることができるようになるのですね。
また話の展開を予想できたり、見通しがイメージできるようになりますね。
感情表現
登場人物や動物などキャラクターの感情にたくさん触れられます。
絵本の読み聞かせをしてもらうと、感情を疑似体験していると言われています。
どんな体験をした時にどんな感情になって、その感情を言葉で表現するとどう表すのかに触れられるので、自分の感情を言葉で表現できるようになりますね。
幼い子は自分の感情をうまく言葉で表現できないことによって、それが涙になったり、手が出たり、癇癪を起こしたりします。
言葉の代わりにそれらで感情を表現しているのですね。
感情を言語化できると心が安定しますね。
絵本の読み聞かせが大切と言われる真の理由
・読み聞かせは愛情が伝わる最強のツール
・物語に触れることで身に付く生きる力
愛情が伝わる
パパ・ママの愛情を伝えるには、5つの方法があると言われています。
- 言葉で伝える
- スキンシップをとる
- 時間を共有する
- 贈り物をする
- 望むことをする
この5つのうち、どれにより愛情を感じるかは子どもによって違うそうです。
どの方法が最も愛情を感じるのか分かれば、その方法を多めにすれば良いのですが、幼い子の場合は分からないですよね。
なので、この5つを満遍なく試していけば良いのですが、なんと!絵本の読み聞かせにはこの全てが含まれています。
言葉で伝える
絵本は、絵を見せながら言葉を読んでいきますね。
パパ・ママの声で読み聞かせてもらうのが、子どもは大好きなのです。
大好きな人の声で読んでもらうことに意味があるのです。
絵本のメッセージに大好きという言葉があれば、ますます愛情が伝わります。
子どもは絵本の世界を疑似体験しているので、自分に言ってくれているように感じるのです。
怒りすぎてしまった日や子どもが悲しい想いをした日などは、メッセージに愛を感じる絵本を読んであげると良いかもしれません。
スキンシップ
絵本の読み聞かせは、膝の上に座って読んだり、お布団の中で触れ合った状態で読んだりすることが多いと思います。
スキンシップのきっかけになりやすいんですね。
是非、活用しましょう。
時間の共有
これは説明するまでもなく、その通りですね。
大好きなパパ・ママが仕事や用事の手を一旦止めて、自分と一緒に時間を過ごしてくれること自体が嬉しいのです。
贈り物
絵本を子どもが自分で購入することはできません。
周りの大人が買ってくれるわけです。
多くの場合、パパ・ママになると思います。
パパ・ママからの贈り物ですね。
買ってあげなかったとしても、借りた本でも読んであげること自体が既に、時間と声とスキンシップのプレゼントと考えることもできますね。
望むことをする
読んで!と持ってきた絵本を読んであげる。
子どもは気に入った同じ絵本を、毎回毎回持ってくることがあります。
その場合はそのままその絵本を気の済むまで何度でも読んであげてください。
今日読む絵本と明日読む絵本が同じでもいいのです。
それがその子の願いです。望むことです。
生きる力
よく教育の現場で、例えば幼稚園や学校等で生きる力と言われますが、生きる力とは具体的にはどのようなものなのでしょう。
乗り越える力
長い人生、生きていると思わぬアクシデントや悲しいこと、つらいことに直面することがあります。
あまりのつらさにすぐには動き出せなくなったり、塞ぎ込んでしまうものです。
でも、いつまでもそうはしていられません。
どこかで立ち上がって、気持ちを切り替えて、人生を進んでいかなくてはなりません。
誰も悲しい気持ちを上向きにはしてくれません。
自分で立ち直るしかないのです。
絵本には、様々な困難が襲ってくるお話がたくさんあります。
ひどい目に遭うのですが、何か頑張って力を手に入れたり、誰かしら助けてくれる人が現れて、その人の助けを借りたり、何か解決できる武器や道具を手に入れて、難題を突破できたり。
そのようなお話にたくさん触れることによって“人生万事塞翁が馬”ということを知らず知らず学んでいるのです。
いつまでも悪いことばかりは続かない。
自分が人生の中でそのような目に遭った時に、今は試練のときでそのうちに絶対にいいことがある、そのうちに絶対に乗り越えられるんだという強い気持ちを持って、冷静に進んでいけるんですね。
起きたことにいちいち一喜一憂しない心が育ちます。
これは絵本の読み聞かせをたくさんしてもらって、その後自分自身も読書が好きになってたくさんの本に触れた人が、実際にそのように話すのを何度も聞いたことがあるので、そのような可能性は高まるのだと思います。
何かあっても立ち直る力をレジリエンスと言いますが、絵本はレジリエンスが身に付く一つのきっかけになると思います。
もちろん、実際に立ち直る体験もすることで、更に強くなることは言うまでもありません。
道徳、優しさ、思いやり、知恵
登場人物の行動、言葉から学び、またその結果から、何が正しくて何が大事で何を大切にしないといけないかを知らず知らずのうちに学んでいますね。
こういったものが生きていく上での知恵となり、生きる力となるのですね。
そして、周りの大人が良いお手本になれると更にいいですね。
視野が広がる
色々な国の絵本があるので、その国の文化に触れられます。
そして、いろんな登場人物の生き方、考え方に触れられます。
自分では思いつかないようなことに触れることで、視野が広がりますね。
まとめ
私自身が考える、絵本の読み聞かせの最も大きな恩恵は、子どもに愛情が伝わるということです。
子どもは愛情を感じることで心が安定し、不安が軽減され、パワーが充電されます。
そして、成長した先には困難を乗り越えていく力がつき、力強く自分の人生を歩んでいける可能性が高まります。
今日では絵本という形をとっていますが、文字のない時代から、どんな民族にも神話があり、民話があり、童話があり、昔話があり、それを口伝えで子どもたちに聞かせてきました。
子どもたちがお話を求めてきたとも言えます。
読み聞かせをする上で、一つ注意点を書き加えるならば、パパ・ママご自身も読み聞かせを楽しむこと。
パパ・ママが子どもとの時間をにこにこと楽しんで過ごすことが、何より子どもにとって嬉しいことです。
読み聞かせが義務になってしまって、心ここにあらずで読んでしまうと、せっかく時間を割いたのに、子どもの心には響かない残念な読み聞かせになってしまいます。
その点だけはご注意を!
ゆったりした気持ちで、ご自身に無理のないように、できるときにできる範囲でお子さんとの時間を楽しんでくださいね。
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